はじめまして。 たにざわ歯科クリニック 院長 谷澤 和紀と申します。
私がメールマガジン「まぐまぐ」に連載していたものをホームページ用にリメークして登場させました。
注意事項
◎一般の方向けの内容なので、厳密な医学用語は使用してい ません。
医学的な専門性から考えた場合、妥当でない表現があると思いますが、
 なるべく平易な表現を使用するようにしてい ます。
◎体の状態は個人によって異なっています。
◎現在治療中の方は かかりつけの主治医と相談をしてください。
 第3号 フィンランドの虫歯予防事情
現在、フィンランドは世界で一番虫歯が少ない国だと言われています。
どのくらい少ないかというと、12歳児の虫歯の数の平均は、1.2本です。
日本は、3.6本。 日本の約3分の1ですね。
しかし、第二次世界大戦直後のフィンランドは、決して「虫歯予防大国」ではありませんでした。
それどころか、日本よりも虫歯の多い「虫歯大国」 だったのです。
●どうして虫歯が少なくなったのでしょう?
虫歯が多発した結果、歯科医師の数が不足したため、9月と3月の年2回新入学生を受け入れて、
 歯科医師の倍増を図りました。
そのため、国は膨大な歯科医療費に悩まされ、医療費抑制のために、国家を挙げての虫歯予防に乗り出したのです。
1970年代の調査では、フィンランドの12歳児の平均虫歯本数は、約 7本です。
世界的にみて、虫歯の多い国でした。
しかし、このままではいけ ないと、国をあげて虫歯予防にとりくみました。
1972年に健康基本法という法律を作って、それまでの治療中心の制度を廃止し、予防中心の
 保健・医療制度を開始しました。
その結果、子供の虫歯の状況は飛躍的に改善され、1990年代の初めには、12歳児の平均虫歯本数が
 約1本になったのです。
ちょっとマメ知識 〜DMFってなに?
さきほどから、12歳児の平均虫歯本数は・・・などと書いていますが、この1人のお口の中の、虫歯になってしまった
 歯の本数を調べた結果がDM F値とかDMF歯数と言われるものです。
・Decayed(現在虫歯になってしまっている歯)   
・Missing (虫歯が原因で失ってしまった歯)  
・Filled ( 虫歯であったが治療した歯)
  の頭文字を合わせたものです。
銀歯が2本、虫歯が3本あれば、DMF値は 5です。
歯科の専門用語ですが、最近一般の方が目にする機会も増えてきま した。
例えば、学校健診の結果から県別のDMF値をだして、「この県は 虫歯の子が多いね。」などと言ったりします。 
●どうやって虫歯を減らしたのでしょう?  
「キシリトールガムを咬んでいるから!」と思われがちですが、これは補助的な方法のようです。
もちろんキシリトールには、虫歯を抑制する効果が あるのですが、フィンランドが虫歯の予防に成功したのは、
 「フッ素を徹底 的に利用したこと」が、一番大きな要因だったと言われています。
フィンランドの子どもは、生後6ヶ月で最初の歯科健診を受けます。
その 後、唾液検査をおこない、虫歯に対する「なりやすさ」を調べ、徹底的な予防がおこなわれます。
その中でも、もっとも予防に効果を発揮するのが、フッ素です。
フッ素 は、歯磨き剤や洗口剤に含まれているものもありますが、我が国では、まだ 利用される範囲が限られています。
フィンランドでは、飲料水にフッ素が 含まれているほか、歯磨き剤のほとんどはフッ素入りですし、フッ素の錠剤 を、
 日常的に利用しています。
そして、予防の他、矯正治療も含めたすべての歯科治療が、19歳までは 無料で受けることができるのす。
日本の歯科事情とは、大違いですね。
第4回は、フッ素の利用法について、くわしくお話させていただきます。
今回のポイントは、・・・・・
 ・フィンランドの虫歯予防の歴史  ・DMFとは?  ・フィンランドの虫歯予防の方法 以上今回の内容でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。  

 

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 第1号  予防の時期『3 ・6 ・12の法則』
 第2号  フィンランドという国を知ろう