はじめまして。 たにざわ歯科クリニック 院長 谷澤 和紀と申します。
私がメールマガジン「まぐまぐ」に連載していたものをホームページ用にリメークして登場させました。
注意事項
◎一般の方向けの内容なので、厳密な医学用語は使用してい ません。
医学的な専門性から考えた場合、妥当でない表現があると思いますが、
 なるべく平易な表現を使用するようにしてい ます。
◎体の状態は個人によって異なっています。
◎現在治療中の方は かかりつけの主治医と相談をしてください。
 第4号 『フッ素が毒!』って本当?
前号では、フィンランドが1970年代からの20年間で、どのようにして虫歯を減らしてきたのかを、ご紹介しました。
その中でも、もっとも効果があったと言われていたのが、「フッ素の応 用」です。
具体的におこなわれた「フッ素の応用」は、主に次にあげる3 つです。
1.飲料水のフッ素化
2.フッ素タブレットの飲用
3.フッ素入り歯磨き粉の普及
日米欧における口腔衛生に関するフッ化物応用の状況
   応用法       米国    欧州    日本    全身
水道水フッ素添加    ○     ○      ×
フッ素錠剤(又は液剤) ○     ○      ×
フッ素歯面塗布法    ○     ○      △(1)  
フッ素液体歯みがき剤  ×     ○      △(2)  
  ○:利用されている   △(1):医薬品のみ有り   ×:利用されていない  △(2):医薬部外品での例有り  
この表にあるとおり、水道水や食塩にフッ素をまぜたり、フッ素の錠剤(タブレット)を飲用したりと言う「フッ素の
 全身的な応用」は、日本ではおこなわれていません。
1.飲料水のフッ素化や、2.フッ素タブレッ トの飲用は、できないということなのです。
それは、どうしてでしょうか?
フッ素は飲み込むと体に悪い!
フッ素には、急性中毒と、慢性中毒があります。
急性中毒:体重1kgあたり、2mgのフッ素を飲み込むと、急性中毒をおこす危険性があります。   
急性中毒の症状は、嘔吐、悪心などです。
20kgの児童であれば、40mgです。
これは、1回に用いるフッ素洗口剤の全てを飲み込んだ場合の35倍の量です。
慢性中毒:1リットルあたり、0.8mg以上の濃度のフッ素含有飲料 水を飲み続けると、慢性中毒を
 おこす危険性があります。
慢性中毒の症状は、歯牙フッ素症と骨フッ素症です。
1回に用いるフッ素洗口剤の全てを飲み込んだ場合は、フッ素含有飲料水を飲み続けたのと
 同じくらいの危険性があります。
日本では、フッ素はどのように応用されているのでしょうか?
フッ素を飲料水にまぜて、毎日飲むことは、決して「安全である」とは言えないからこそ、
 日本では、「水道水フッ素添加」がおこなわれないことが、おわかりいただけたと思います。
日本で、おこなうことが可能なのは、「フッ素の局所応用」に限られます。
具体的には、   1.フッ素の歯面塗布法   2.フッ素洗口剤   3.フッ素入り歯磨剤 の3つです。
フッ素は、局所的に用いるべき!
慢性中毒をおこさないためにも、飲料水にフッ素をまぜることは、おこなうべきではありません。
かつて、水道水フッ素化をおこなってきた国々でも、すでに廃止にふみきっている国は、多数存在します。
フッ素の全身的応用は、虫歯予防に、逆効果だという論文もあるくらいなのです。
やはり、フッ素は、局所応用!
フッ素洗口剤や、フッ素入り歯磨剤も、なるべく飲み込まないように使う必要があります。
フッ素も薬である以上、まちがった使い方をすると、 さまざまな危険性があります。
しかし、こわがる必要はありません。
正し く応用できれば、フッ素の局所応用は、虫歯予防に効果を発揮します。
第5号では、さらに具体的な「フッ素の局所応用法」についてお伝えします。
今回のポイントは・・・・・
・フィンランドのフッ素応用事情 ・フッ素の急性中毒と慢性中毒 ・日本のフッ素応用事情 ・フッ素は局所応用!
以上今回の内容でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。  

 

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              バックナンバーがご覧になれます
 第1号  予防の時期『3 ・6 ・12の法則』
 第2号  フィンランドという国を知ろう
 第3号  フィンランドの虫歯予防事情