| 前回、お口の中にはたくさんの細菌が住みついていることをお話ししました。 |
| これらの細菌は、たがいに「なわばり」を持っていて、外から新しい細菌が侵入しても増殖したり、 |
| 住みついてしまうことを妨害します。 |
| この先に住みついて、「なわばり」を持っている細菌を『口腔常在菌』といいます。
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| 『口腔常在菌』のおかげで、毎日いろいろな物が入ってくるお口の中の状態が一定に保たれているのです。 |
| 残念ながら、「虫歯菌」も口腔常在菌 の仲間なんですけどね。 |
| 口腔常在菌の「なわばり」というか、勢力のバランスは3歳までに決定 されます。 |
| あとは一生そのままです。 |
| 口腔常在菌のバランスは、人のより微妙に異なっています。 |
| このバランスの違いが、虫歯になりやすい人、なりにくい人の違いの一つです。 |
| この他に、「だ液」の性質の違い、歯の質の違いがあります。 |
| ●口腔常在菌のバランス |
| お口の中の主な「虫歯原因菌」である、ミュータンス菌や乳酸桿菌の勢力の強い人は、 |
| 虫歯になりやすい人であるといえます。 |
| このような、虫歯 になりやすい状態のことを、「虫歯リスクが高い」と表現します。 |
| 常在菌のバランスは変わらないとはいえ、お口の中を不潔にしていたり、虫歯の穴をそのままにしていると、 |
| 虫歯菌の住みやすい環境になるため、 虫歯菌の勢力は増大してしまいます。 |
| 虫歯になるリスクがさらに高まってしまいます。 |
| 虫歯菌の勢力の強い、虫歯リスクの高い人は、他の人達よりも甘いもの や歯磨きに注意しなければならないでしょう。 |
| ●だ液の性質 |
| 先ほど、虫歯のなりやすさには、だ液の質も関係していると書きました。 |
| だ液の質も、人によって差があるのです。 |
| 虫歯のなりやすさに関係するだ 液の性質には「緩衝能(かんしょうのう)」と量があります。 |
| 「緩衝能」とは聞き慣れない言葉だとおもいます。 |
| これは簡単に説明さ せていただくと、酸を薄める能力のことです。 |
| 虫歯菌は糖分を食べて酸を出すと前にお話ししましたが、だ液の緩衝能が高ければ、 |
| 虫歯菌の出す酸を薄めることができるのです。 |
| 次に量ですが、これは単純に、だ液の出る量、出やすさのことです。
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| だ液がたくさん出てくれれば、その分、お口の中が良く洗い流されます。 |
| また、酸を薄めやすくもなります。 |
| 緩衝能が高く、だ液の量も多ければ、 「虫歯リスクは低い」といえます。 |
| ●口腔内細菌検査 |
| さて、今まで虫歯リスクを左右する要因について、お話しさせていただいたのですが、ご自分のお口の中の |
| 細菌のバランスやだ液の質はどうなの か分からないですよね? |
| もうすでに虫歯にたくさんかかってしまっている方は「自分は虫歯リスクが高いのかも・・・」と分かっていただけるのですが、 |
| 幸いにもまだ虫 歯のできていないお子さんのお口の中の状態を知ることができれば、 |
| それに合わせた対応をとることができます。 |
| お口の中の状態を知る方法に『口腔内細菌検査』があります。 |
| 当院では 『デントカルト』という検査キットを使用しておりますが、まず、検査を受けていただく方に |
| ガム(のようなもの)を5分間咬んでいただき、出た だ液を採取します。 |
| この量と緩衝能を測定します。 |
| 次にだ液または歯垢を採取して、その中の細菌を培養して虫歯菌の数を数えます。 |
| 検査自体は30分位で終わります。 (培養に時間がかかるためです) |
| 検査結果が分かりやすいように、専用ソフトの円グラフを用いて説明し ます。 |
| やり方は歯科医院によって違うと思いますので、かかりつけの歯科医院にお問い合わせください。
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| この検査を行うことにより、目に見える形でご自分のお口の中の状態を知ることができ、 |
| 必要性をもって、効率的に虫歯の予防ができます。 |
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■今回のポイントは・・・・・
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・虫歯リスクについて ・口腔内細菌検査について 以上今回の内容でした。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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