今回は、「だ液」についてお話しさせていただきます。 |
「だ液」とは、「つば」や「よだれ」とも呼ばれる、お口の中の水分のことです。 |
「だ液」は、ただの「少しとろみのある水」のようですが、じつは私達にとって非常に役に立つ働きを持っているのです。 |
また、虫歯のできる、できない、に大きな影響力を持っています。 |
●「だ液」の役割 |
「だ液」には、マナーの良くない人が道ばたに「ぺっ」と吐いたり、寝ているときに「だらー」とお口の横から出てきたり、 |
とかあまり良くないイメージを持たれることが多いのですが、私達が生きていく上で、かかすことのできない、 |
とても大切なものなのです。 |
「だ液」の役割を挙げてみます。 |
1.潤滑作用 ・・・食べた物を湿らして、のどを通りやすくします。 |
のどがカラカラのときに、パンを食べようとしても、飲み込めませんよね。
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2.溶解作用 ・・・食べた物の味成分を溶かして、舌にある「味センサー」に運びます。
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3.消化作用 ・・・だ液のなかの「アミラーゼ」という酵素が食べた物に含まれるデンプンを分解します。 |
ご飯を長くかんでいると甘く感じるのはこのせいです。 |
4.洗浄作用 ・・・食べ物を食べると、「だ液」が大量に出てきて、歯やお口の表面を洗い流してくれます。 |
5.抗菌作用 ・・・だ液に含まれる「リゾチーム」などの成分が、外から入ってくる有害な細菌を退治します。 |
「リゾチーム」が入っているカゼ薬もありますね。 |
6.緩衝作用 ・・・前にお話ししましたよね。酸を薄める作用のことです。
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ただ水で薄めるのではなく、「だ液」の中のタンパク質やイオンなどの成分が、効果的に酸を弱めます。 |
7.歯の保護作用 |
・・・歯の表面に「ペリクル」と呼ばれる、タンパク質の膜を作ったり、「再石灰化」といって、
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だ液の中の「カルシウムイオン」や「リン酸イオン」が歯の表面の小さな傷を修復してくれます。
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このように、実にたくさんの役割を持っているのです。 |
●「だ液」はどこから来るのか? |
だ液は「唾液腺(だえきせん)」という器官で作られます。 |
この「唾液 腺」は耳の前あたりや、舌の裏あたりにあります。 |
耳の前にある「唾液腺」は「耳下腺(じかせん)」と呼ばれ、子供の頃によくかかる「おたふくカゼ」は |
この「耳下腺」がはれる病気です。 |
「唾液腺」からは「だ液」が通る管がのびていて、ほっぺたの裏側や舌の裏につながっています。 |
確かめたい方は、この部分をティッシュペーパーな どでよく乾燥させ、鏡でジーっと見ていると |
「だ液」がジワーと出てくるのを観察できるでしょう。
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また、お口の中の表面全体に、小さな「唾液腺」があります。 |
●気分によって「唾液」が変わる!? |
だ液を作る「唾液腺」は、気分をつかさどる「自律神経」の支配を受けま す。 |
ですので、その時の気分によって、「だ液」の性質が変わってくるのです。 |
楽しいことを考えている時や、美味しそうな物を見た時はさらさらした だ液がたくさん出てきます。
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逆に、緊張したり、怒っているときは、ねばねばした「だ液」が少し出ます。 |
ものすごく緊張する場面では、お口の中がカラカラになるのを皆さん経験していると思います。 |
最近、ストレスも虫歯の原因になるのではないか、ということを研究されている先生もいらっしゃいます。 |
だ液はお口の中にある、ただのとろみのある水、ではないことがお分かりいただけたと思います。 |
次回は「だ液」と虫歯の関係についてもう少し詳しくお話しさせていただきます。 |
■今回のポイントは・・・・・
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・だ液の役割 ・だ液のふるさと ・だ液の性質は変わる
以上今回の内容でした。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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