前回までに、細菌(虫歯菌)のお話、歯のお話(フッ素の話あたりです) 、砂糖のお話、とさせていただきました。
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実は、これらのお話しさせていただいたことに関する条件が重なって、 初めて虫歯ができるのです。
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このことを、カイスという研究者が1960年代後半に発表しました |
紙と鉛筆がお手元にある方は、3個の円を互いに重なるように書いてみ てください。 |
(本当は図を載せられれば良かったのですが・・・) |
・1つめの円−−−その人個人の問題 これは個人が持っている要因のことです。 |
だ液の性質、歯の質(強さ)、 歯並び、年齢などの条件のことです。
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・2つめの円−−−細菌(虫歯菌) これは細菌学的な条件のことです。 |
お口の中の細菌のバランスや、虫歯菌の強さ、歯ブラシがしっかりでき
ているか、などです。 |
・3つめの円−−−食べ物 これは、砂糖などの虫歯になりやすい食べ物を、どのくらい、どのよう
に摂取しているか、という条件です。 |
この3つの円(輪)が作る図を『カイスの3つの輪』といいます。 3つの円がすべて重なる部分がありますよね。それが虫歯です。 |
この図は、「3つの条件がそろって始めて虫歯ができる」ということを示 しています。 |
極論を言えば、甘いものばかり食べて歯ブラシを全然しなくても、虫歯 菌がいなければ虫歯にはならないことになりますね。
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お口の中が虫歯菌だらけでも、虫歯の原因になる食べ物(甘い物だけと は限りません)をまったく食べなければ、やはり虫歯にはなりません。
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しかし現実には、そのようなことは無理ですので、私達はこの輪を小さ くするするように努力するしかありません。
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●輪を小さくするには |
個人の要因の輪を小さくするには、フッ素やキシリトールなどの利用が あげられます。(劇的な効果があるわけではありませんが。) |
虫歯になりやすい子供の時期に、虫歯予防に気をつけることもこの輪を 小さくすることになるでしょう。
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細菌の輪を小さくするには、歯ブラシをしっかりすること、殺菌効果の ある歯磨き剤、洗口剤を使うこと、でしょうか。
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食べ物の輪を小さくするには、代用甘味料を利用すること、「だらだら 食べ」をしない、などです。 |
それだけで高い効果をあげられる、という方法は今のところ無いのが現 状ですので、色々な方法を根気よく続けていただきたいと思います。 |
●4つめの輪 |
カイスさんが「3つの輪説」を発表した後しばらくして、4つめの輪を 付け加えた説が発表されました。 |
4つめの輪は「時間」です。 |
言われてみると、なるほど、という感じなのですが、虫歯菌に虫歯を作 る時間を与えない、ということです。
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こまめなケアが虫歯を防ぐのです。 |
■今回のポイントは・・・・ |
・3つの輪 ・輪を小さくしましょう 以上今回の内容でした。 最後までお読みいただきありがとうございました。
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